おひさま保育園

南海トラフの巨大地震に備えた浸水区域にある保育所の高台移転と、人口減少による保育所の統廃合計画に伴った統合保育園。太平洋から吹き上げる海風を受けて育つ山々の緑に囲まれた豊かな自然環境を十分に取り込み、地域の豊かな山の木・地元の職人達と共に創り上げた木造園舎です。燦燦と輝くお日様と自然の恵みを身体いっぱい感じながらのびのび遊ぶこどもたち、敷地の豊かな自然環境と呼応する「自然の中に育つこどもたちの郷」と名付けました。
園舎は平屋・回廊型とし、園舎の中央にシンボルとなる33m×16mのおおきな「なかにわ」を設けています。なかにわの周囲は一筆書きの回遊動線(回廊)で結びつけ、各保育室・職員室より目線が十分に抜ける空間構成とすることで、見守り性を確保しています。こどもたちは見守られながら思う存分“自然”の中で駆け回ることができます。また、なかにわの過半を低年齢児の遊び場とし、高年齢児と使い分ける計画として、身体能力差のあるこどもの外遊びの安全性を確保しています。
地域の地場産材を積極的に活用し、小口径である一般流通材を主体とした架構造を組み合わせた群建築を形成し園舎にバリエーションを生み出しました。方形屋根の「おひさまホール」「サンサンひろば」は建築群の中でも求心性を持たせ、豊かな保育環境を構成するほか、保育園としての象徴を表現しています。
こどもたちのための空間は画一的なものであるよりは、変化に富んだ楽しい空間であってほしいものです。異年齢児同士の日々の生活の触れ合いが、こどもたち同士の育て合い、学び合いの機会となるように、「なかにわ」を中心とした群建築が呼応し合う保育環境が、こどもたちの生活の場をより生き生きとした魅力的なものになるように願っています。


所在地 須崎市
構造種別 木造平屋建
延床面積 1910.18㎡
竣工年 2020
賞歴 第4回JIA四国建築賞佳作
   2020年度キッズデザイン賞
第6回高知建築文化賞新人賞