いの町立伊野図書館

人口約25,000人の町伊野町は明治・大正・昭和初期に掛け土佐和紙の一大産地として繁栄しました。日本で3番目に古い路面電車の終点伊野電停より大国様(椙本神社)までの約2㎞が街の中心市街地を形成しいます。このような歴史を持つ市街地の中心部にこの図書館が〝知の広場〟として計画しました。
計画時に設計主旨としてとりあげた主な項目を列記します。
■配置計画
この規模の図書館を建築する敷地としては狭い。総2階建て、一部3階建てとし、敷地の有効利用を計った。
■平面計画
一棟で総2階建ての建築にいのの街並には少々大きい。スケールアウトの感がする。 平面上は中央部分に大きな吹抜け空間を配し、その上部にトップライトを設け、明るさと空気の入替を行う通気窓を設け居住性を高めると共に、一体感をもたらす空間とした。この空間は定期的にピアノ等のコンサートの場として使用される。
町民の文化発信の空間として、吹抜けのもたらす大空間の音色は格別。
■意匠計画
この図書館の用地は伝統的な建造物が点在する街並。その街並に溶け込む、スケールアウトとならないように配慮した。桁行きは、スパン毎に切妻の瓦屋根にカーテンウォールの陸屋根の壁 面を交互に配し、伝統的な街並の商家群に近いボリュームの群を意識させる建築とした。内・外装材も伝統的な素材(土佐漆喰・和紙等)を使用し、街並に馴染むよう配慮した。


所在地 いの町
構造種別 鉄筋コンクリート造3階建
延床面積 1618.77㎡
竣工年 1998